僕は夢を見ていた。

カウンセラーになるんだって。

引きこもっていた時に夢を見た。

 

でも現実はそんなに甘くなかった。

初めてみると全然うまくいかなくって、

何度も諦めかけた。

 

それでも講師として人前で話ができるようになった。

でも、心の世界は不思議で溢れていた。

そこはみんなが夢を語っていた。

そんな光景を見て、

「あぁ、何だかこういうの前にも見たことがある。」

と僕は思った。

 

そう、僕はセミナーに新車がキャッシュで買えるくらいにつぎ込んでいた時期があったのだ。

その時のセミナーの感じに似ていたのだ。

そこでは誰もが夢を語る。

 

でも、夢を叶える人はごくごくわずかだ。

夢は人を前へと推し進める力を持っている。

夢は人に希望を抱かせる。

夢は生きる希望にもなる。

 

僕はセミナーに出て、

元気を取り戻した人を知っている。

でも、それはいっときで、

またうつ病になってしまった人を知っている。

 

僕はセミナーに出て、

その雰囲気がたまらなく好きになって、

セミナーに自分の居場所を求めてしまった人を知っている。

 

僕はセミナーに出て、

仮初めの自分を演じなくてはならなくなり、

自分を苦しめてしまった人を知っている。

 

僕はセミナーに出て、

幸せになるために出たのに、

その後、この世を去ってしまった方を知っている。

 

みんなが夢を、

みんなが希望を持つ社会。

それはとっても大事だけど、

僕たちはみんなが夢を叶えられるわけじゃない。

 

そして、そもそも心理学と夢は関係がない。

なのにみんなが結びつけだがる。

「夢を持て」という言葉はとっても大切だろう。

 

でも、手放しに人に夢を持てというのは、

無責任な気がする。

希望を抱かせたのなら、

少しは見届ける覚悟も時には大切なんじゃないかと僕は思う。

 

そして、夢とは単なる空想な世界でもなく、

持っていなきゃいけないものでもなく、

ただ僕たちが生きている今を大切に生きた先にある、

おまけみたいなもんだと、

なぜ誰も教えないのだろうかと僕は思う。

 

夢というのは先を見過ぎて、

今の幸せを見逃すことではないと、

なぜ誰も教えないんだろうかと僕は思う。

 

僕が人前で夢を語らないのは、

夢には力があるから。

夢には人を動かす力があるから。

その力は良くも悪くも働くのを知っているから。

そしてカウンセリングには夢は必要ないからなのです。

だってカウンセリングに来る人は、

今を大事にしたくて、苦しみを抱えていて、

それを乗り越えたいという思いを持った人なのですから。

野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

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