『僕たちは家族が好きで嫌いだ。』

僕たちは、一人になりたくて一人になりたくない。

僕たちは、家族が好きで嫌いだ。

 

そう、僕たちは両価性を持っている。

 

目の前に相談に来るクライアントさんを見て、

それを最近よく感じることがある。

 

家族がバラバラで、

それぞれが違う方向を向いている。

一家団欒など夢のように感じ、

家族から自分を大切にされていると感じない。

 

そんな日々を送ってきたその人は、

家族が好きで嫌いだ。

 

相談に来たときは、

家族に怒りや悲しみを向けていて、

家族から離れようとしていた。

 

でも、家族のことを話す時、

少し笑顔が垣間見えたり、

声のトーンが上がったりする。

 

家族の一人が「また一家団欒を過ごししたい。」

とそういえば、

その方は「無理だよ。」と言葉を返す。

 

でも、その表情は諦めとかすかな寂しさが滲んでいる。

 

きっと心の中で葛藤をしているのだ。

諦めざるを得ない気持ちと、

心のどこかで出来れば家族とのつながりをまた感じたい気持ち、

つまり家族を好きな気持ちと。

 

そんな両価性の中で、

行ったり来たりを繰り返しているんだ。

 

僕たちは、心のどこかで両価性を抱えていて、

そのどちらか一方を僕たちは、

自分の心として自分に取り込む。

 

そしてもう一つは見ないように、

端へ端へと追いやられていく。

 

目の前のその人もそうだ。

 

離れたい、嫌だという気持ちを自分のものとして、

好きだという気持ちをあきらめようとしている。

 

だけど、好きな気持ちはまだそこにある。

 

それは叶わない願いかもしれない。

 

でも、いつかその気持ちを心の中に

自分の一部として受け入れていくことが、

きっと大切になる時が来る。

 

「本当は○○さんも家族団欒をしたいんじゃないですか?」

 

そんな言葉を掛けてみた。

でも、「いや別に。」と弾かれてしまった。

 

それも当然。

 

でもいつか僕たちは、

心の奥にしまい込んで、見ないようにしてきた気持ちや、

感じないようにしてきた心と、

僕たちは向き合っていくタイミングが来る。

 

そんな時は怖いかもしれないけれど、

その気持ちは敵じゃなくて、

あなたの帰りを何年も待っていた気持ちだ。

 

久しぶりにあった人と出会うとびっくりして、

どう接したらいいかわからないように、

急に出会った時に戸惑うのもしょうがない。

 

だからゆっくりと馴染んでいけばいいんだ。

 

それにはちょっとの勇気が必要なんだ。

野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

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