そっと自分の中の悲しみに触れる。
自分でもわからない程の悲しみを背負っていると、
自分のその悲しみの理由さえ分からなくなってくる。
「なんでこんなになってしまったんだろう。」
頭でいくら考えても疑問だけが頭をよぎり、
その悲しみは癒えることはない。
そんな時は、、、。
満たされない思い。
深い悲しみ。
その奥にある心細さに触れることも大切だ。
自分の気持ちを癒していく為に。
「隣に悲しみ抱えた自分が座っているとしたら、
どんな姿で座っていると思いますか?」
「体育座りをして私のことを見ている気がします。」
「その表情はどうでしょうか?泣いていますか?それとも無表情?それとも…?」
「泣いています。」
「泣いているんですね。それでは、その悲しみを抱えるあなたの席の隣に座ってください。」
「…。」
「目を閉じて、隣に座っている自分を感じてください。どんな感じがしますか?」
「なんだかすごく嫌で重いです…。」
(涙を流し始めると共に避けるような姿勢を取る))
「そうですね。それはあなたがずっと背負ってきた重みです。
自分でも圧倒されてしまうような悲しみをよく背負ってきましたね。」
「先程あなたは、彼女は自分の方を向いていると言いましたね。
彼女はあなたに向かってなんて言っていると思いますか?」
「助けてっていっています。」
「そうですか。あなたに助けを求めているんですね。」
「それでは、隣の自分にそっと手を触れてあげてください。」
「触れるとす~っと悲しみがその手からあなたに流れてきます。」
(大きく泣き始める。)
「彼女は何がそんなに悲しかったんでしょうか?」
「頑張ってきたのに認められない…。」
「誰も自分のことを大切にしてくれない…。」
「そうでしたか…。そんな悲しみや苦しみを彼女は抱えて来たんですね。
とっても深い悲しみのように感じます。
それを彼女は一人で…。よくやってこられましたね。違いますか?」
「はい…。」
「では、そんな彼女になんて言いたいですか?」
「頑張ったね…。偉いねって…。」
「では目を閉じたままで構いませんので、彼女の方を向いてそう伝えてあげてください。」
「頑張ったね。偉いね。」
(自分でまた彼女の椅子に手を触れて伝える。)
「そうですよね。よくやってこられましたよね。偉いですよね。」
「そして今度は自ら進んで助けを求める彼女に触れてあげて、
思いやりをもって言葉をかけることが出来ましたね。」
「今流している涙は、最初のただ悲しかった涙ではなく、
理由はよくわからないけれど、なんだか少しほんの少しだけ、
あたたかな涙のような感じがします。」
「ほほを伝う涙を感じてください…。」
僕たちは、自分の心の奥に誰もが温かいものを持っている。
でも、その彼女のように
僕たちはその気持ちに圧倒されて、
その気持ちの奥の奥のあるその温かさに触れることが出来なくなる時がある。
ただ、一度触れることが出来ると、
そんな自分に対してよくやってきたと、
そんな慈しみの心が湧いてくる。
だから僕たちがすべきことの一つは、
その悲しみを敵とみなすのではなく、
そっと触れていって、
その悲しみを安全な方法で感じて、
それをさけるのではなく、
自分の心の一部として、
また受け入れ、
少しずつその悲しみを癒していくことだ。
どんな気持ちにもきっと居場所は必要だ。
そして帰る場所が必要だ。
あとは僕たちがそれを受け入れる準備をするだけなのだ。
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