自分を信じている人に僕は一人もあったことがない。
慢心している人には出会ったことがあるが、
僕は自分を心から信じている人に出会ったことがない。
僕がこれまで出会ったのは、
恐怖と対峙しながらも、
自分を信じようとする人たちの姿でした。
時には、泣きながら、
怖いと感じながらも、
それでも「大丈夫。大丈夫。」と、
胸に大事そうに手を置きながら、
自分を信じようとするその姿でした。
「分かっている。自分が今の状況を望んでいないのは分かっている！」
「でも、怖いんだ。誰がこんな私を愛してくれる？」
「こんな惨めな自分を愛してくれる？」
生き方を変えるのは、怖い。
自分は愛される価値があるかもしれないという
その自分の可能性に目を向けるのは怖い。
そんな自分を信じるのは、とても怖い。
自分がぐらつく。
今までの自分が崩れていく。
でも、心のどこかでは分かっている。
これじゃダメだって。
その羅針盤を。
そのささやきを、
その叫びを聞くのは、
とても勇気がいる。
とても怖いのだ。
「お前向いてないんじゃない。」
「分かったよ。もうそれ以上言うな。」
「向いていないのは、分かっている。」
「だけど、それでも俺はやりたいんだよ！」
「それだけは、分かってくれよ。」
向いている、向いていない。
才能がある、ない。
そんなこととは別に存在している、
自分のやりたい気持ちを信じ、
その気持ちを羅針盤にして、
人生を進んでいくのは、
とても怖く、
そして、とてつもなく勇気がいる。
証拠は何もない。
上手くいく保証なんてどこにもない。
自分を信じられる証拠なんてどこにもない。
誰かがその証拠を見せてくれることも、
その証拠をくれることもない。
それでも彼らは、
進もうとする。
時に、その手を震わせながら、
時に苦しみながらも。
多くの人は勘違いしていると思う。
彼らも怖いんだ。
同じなんだ。
ぐらつくんだ。
自分を信じていれば、
自信満々でいられる？
そんなことはないんだ。
いつだって怖いんだ。
でもいつだって彼らは、
信じてみようとするんだ。
何度でも信じてみようとするんだ。
だから、そこから始めていくんだ。
そこからスタートするんだ。
諦め、
悪くいこうさ。
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