アドバイスって、時に人を傷つけます。

僕たちは、相談されると、ついついこうしたが方がいいよ。
ああしたが方が良いよ。ってアドバイスをしがちですよね。

でも、時にそれが人を傷つける事があります。

「だから、あなたはこうなんだよ。こうした方が良いよ。」
「あなたの問題は○○だから、△△しなさい。」

なんて言葉が人の心を傷つける事があります。
カウンセリングなどでも、そんな風に言われることがあるようです。

僕の友人もカウンセリングに行って、余計に苦しんでしまったなんてこともあるくらいです。
「カウンセリングに言っているのに何でなん?」
って思うでしょうけど、そんなこともあるんですね。

では、なんでそんなことが、、、!?教えてお兄さん。と、
誰にも教えてと言われてないのに、お教えしましょう!

人が悩みの原因を知りたがり、答えを出したがるのは…。

多くの人が悩む時、
悩みの原因を探りますね。

「なんでこんな事になっちゃったんだ?」
「何で振られちゃったんだろう、、、。」
「なぜあの人は、あんなにひどいことを私に言うんだろう?」

なんてことを悩んでいると必ずといっていい程考えます。
僕たちは”理由”が欲しいんです。
つまり悩んでいる理由、そんなことが起きた理由、
つまり、悩みの根源=原因です。

原因を知ることで対処できると考えるからです。

そもそも例えば、病気なった時に、
原因不明って一番怖いじゃないですか。

それで、原因がわかるとほっとしますよね。

答え=原因が分かると、僕たちのこころは落ち着きます。

そう、僕たちの心はいつだって、安定を求めています。
不快な状態(はっきりしない状況)が嫌いだからです。

つまり、僕たちが悩みの原因を求めたりするのは、
原因を知れば答えがひとまず出て、心が落ち着くからです。

そして、原因をしれば対処可能かどうかの判断もでき、次の策がうてる。
そういった事があわさって、僕たちは原因を知りたがるんです。

さて、この原因を知れば、こころの問題は解決するんでしょうか?

心の悩みの原因を知ると、別の悩みが増えることがある。

仕事のことなどであれば、原因を追究して、
改善策を打つことは役に立ちます。

でも、こと心の悩みの場合、そうならないことが多かったりするんです。

なぜかというと、心って見えないですし、
原因ですよ。ってされるものって、沢山考え方があるからです。

ある人は、過去の親子関係にあると言います。
ある人は、過去の未完了な体験があるからだと言います。
ある人は、理想の私と、現実に体験している私との不一致にあると言います。
ある人は、認知の歪みがあるからだといいます。
ある人は、自らの心の声が聞こえないからだといいます。
またある人は…。

説明したらきりがないくらい沢山あって、
何を原因として、どう解決していくかを体系化しているのが、
セラピー(心理療法)なので、何を原因とするか、如何に解決していくかによって、
それこそ何十、何百種類とセラピーがあるんです。

こんなに沢山の中で、”本当の原因”を探すのって、
大変だと思いませんか?

そう、なかなか見つからんのです。

だからこそ、僕たちは原因を知りたくて、解決したくて、カウンセリングを受けに行きます。

そこで、カウンセリングの先生から”原因と思われる”ことを言わることがあります。
例えば、あなたが抱える問題が”人に対して自分の意見を言えない。”だとしましょう。

すると、それに対して先生が、
”あなたの問題は、あなたが周りの評価を気にしすぎて、自分を表現するのを怖がってることです。”
と言ったとします。

すると、あなたはきっと納得します。

「先生が言っているからそうなんだろう。
 意見を言えないのは、私が人の評価を気にしすぎて、自分を表現するのを怖がってたらか。」って。
つまり、人に意見を言えない=人の評価を気にしている+自分を表現するのが怖い
という公式が出来上がるわけですね。

人に対して意見が言えないという悩みから、原因が二つ出てきました。
あなたがこの考えに納得すると、悩みの原因というか、対処しなければならないことが、
二つ出てきます。

すると、今まで気にならなかったかもしれない二つの事が気になり始めます。
「そういえば、人の評価けっこう気にしているかも、、、。」
「そういえば、小さいころから、自分の気持ちをあんまり表現してこなかったな。親も厳しかったし。」
なんて、その二つに関連することを思い出して、
「意見を言えないのはその二つが関係していたのか。」と考えます。

今まで問題ではなかった二つのことが、問題として認識された瞬間です。

そこで、前向きになって、これから自分を表現しよう。
周りの人の目なんて気にしない!ってなれれば素敵な結果になります。

一方で、「なぜ自分は人の評価ばっかりに気になるんだろう…。」
「あぁ、恐がってないで人に意見を言わないと!でも言えない。」
「結局自分が悪いのか…。」
なんて、自分を責めたりしたら苦しみを生みますし、
今まで問題として意識していなかった、人の評価や、恐くて自分を表現できない、
という二つのことが新たな”問題”となってしまい、生き辛さがます可能性もあります。

このようにアドバイスはうまくいけば、当たり前ですけど前向きに取り組むことで、
問題を解決することができますが、失敗すると、もともと問題でなかったことすら、
問題となり、その人を余計に苦しめてしまうことがあります。

そもそもアドバイス通りにできていたら悩まない。

さらに、当たり前ですが、こうしたが方が良いよって言われても、
出来ないから悩んでいるわけです。

頭で分かってても、心がついてこない状態が悩みを抱えている状態です。

そんな方に対して、こうしたが方が良いよ!って言うのは、
本人にしたら「分かっているよ!そんなこと!」という気持にもなるし、
「いや、言っていることはわかるけど、出来ないんです。今までも試してみたんです。
 頭ではわかってても、気持がついてこないんです。」
という気持ちにもなってしまいがちです。

こんなやり取りが続くと、せっかく相談したのに、
「理解してくれない。」って、残念な気持ちにもなります。

分かって欲しくて、乗り越えたくて話したのに、
「理解されなかった…」という体験が生まれてしまいます。
「そんなことわかっているけど、あえて言わなくていいじゃない…。」
という体験が生まれてしまいます。

それってお互いに残念なことですが、
アドバイスは、これまでお話したような危険性を含んでいる為、
なかなかそういったことがさけられないことがあります。

まとめるとアドバイスには、以下のような危険性があります。

 ・新たな問題を生み、新たな苦しみを生むことがある。
・アドバイスが実行できずに自分を責めることがある。
・頭で分かってても心がついてこないから悩んでいる。
・理解して欲しいのに、理解されずに残念な体験になることがある。
・アドバイスの内容が受け入れがたく、心に痛みをおってしまう。

こんな危険性があるために、
使い方を間違うと、良かれと思ってしたことが逆に相手を苦しめてしまうことになるのです。

そして、一番大切なことは、
あなたがどんなことを言われたとしても、
根本原因なんてものはなく、
ただの考え方の一つであるということです。

アドバイスされたことがあなたにしっくりくるなら受け入れてみる。
それが受け入れがたかったら、受け入れない勇気をもつ。

すべては一つの見方です。

あなたが勇気がないからだ!
あなたが人の評価を気にしすぎているからだ!
過去の親との関係が○○だったからだ!

なんてことも真実ではなく、見方の一つ。

自分に力になる見方を選んでいきたいですね。

そして、アドバイスをする側も、
その人の力になるようなアドバイスを選んでいきたいものですね。

野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

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