大切な人に自分の気持を受け止めてもらう

ということはとっても大切なことです。

先日夫婦カウンセリングをした時のことです。

旦那様との金銭トラブルで、奥様は裏切られたように感じて、

とても悲しそうであり、疲弊していました。

 

旦那様はそんな奥様の姿を見て、深く反省し、罪悪感を抱えていました。

「本当に申し訳ないと思いますし、一生償いきれないことをしてしまった…。」

「でも何とか償いたい…。」

その顔は自分のしたことのあまりの大きさに圧倒され、

申し訳ない気持ちでいっぱいのように見えました。

 

奥様は「したことはもうしょうがない。」と、

言葉では言いつつも、

旦那様に裏切られたと感じる怒りは収まらず、

「私のことを大切に思ってくれていたのに、なんでそんなことをしたの!?」

と涙ながらに旦那様を責めてしまう。

 

そして自分の思いを言葉にすることが苦手な旦那様は、

そんな姿を見てさらに自分のしてしまった事への罪悪感や自責感を強く感じ、

過度なストレスから足が震えてしまう。

 

大切な人だからこそ、

その人を傷付けてしまったことは、

傷付けた側もとても苦しいのです。

 

そして勿論、

大切な人だからこそ、

傷付けられたことは許しがたく、

その悲しみと怒りは、

頭で納得させようとしてもできないほどに大きく、

自分一人では到底受け止めきれません。

 

お互いが痛みを抱え、

その行き所を失くしているように見えました。

 

そこで旦那様にはこんな取り組みをしてもらいました。

奥様に両手を胸の前で祈るように握ってもらい目を閉じてもらいます。

 

そして旦那様はその奥様の両手を

そっと自分のその両手で奥様に愛情が伝わるように包んでもらいました。

そして指示的ではありましたが、こんな言葉を言ってもらいました。

「ありがとう。と心を込めて伝えて下さい。」

すると旦那様は奥様のことをじっと見ながら、

「ありがとう。本当にありがとう。」と言葉にしました。

そして次に、

「ごめんね。そんな思いをさせて。と伝えて下さい。」と旦那様に伝えました。

同じように「ごめんね。」と伝えたところで、

「ご自分なりにその気持ちを言葉で伝えて下さい。言えなかった言葉もあったでしょうし、ありがとうも言葉にしてないことも沢山あったでしょうから。」と伝えると、旦那様は自分の言葉でその気持ちを語り始めました。

そして奥様はその閉じた瞳から涙を流しながらその一言一言を受け取られていました。

十分にその言葉と思いを受け取ってもらい、

今度は奥様の番です。

旦那様の手を握り同じことをしてもらいました。

旦那様は奥様の痛みと、

その愛を受け取り、

奥様は口下手な旦那様が普段言葉にできなかった思いや、

信じれなくなってしまったかもしれないけれど、

また信じようとおもったその愛情を受けとりました。

 

そしてお互いがお互いの痛みを共有し、思いを受けとりました。

 

僕たちは器用に生きられません。

だから自分の気持ちの置き所に困ってしまったり、

その気持ちに圧倒されることもあります。

 

でもその気持ちはいつでも待っています。

大切な人に受け止めてもらうのをいつでも待っています。

そして器用でないその気持ちの奥にある大切な言葉を聞けるその瞬間を僕たちは待っています。

 

僕たちは一人ではありません。

一人で抱えられない気持ちも、

受け止められない気持ちも、

誰かに受け止めてもらことで、

お互いに分かち合うことで軽くすることが出来きるのです。

でも僕たちは変にいじっぱりで、見栄を張るところがありますから、

それを言葉にできない時や、受け取れない時もあります。

 

だからそんな時の為に通訳としてカウンセラーがいるのかもしれませんね。

野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

メルマガ:この心に雨が降ったら読むセラピー

今あなたの心に雨が降っていても大丈夫。心はきっと晴れる。

※購読解除はいつでも可能です

■ブログランキングに参加しています!
ポチっと押して頂けると、とっても励みになり、嬉しいです(^-^)
心理学 ブログランキングへ