自分の気持をうまく表現できない時、

それはあなたが悪いのではなくて、

自分の気持ちを上手く表現するその術を学んでこなかったのかもしれません。

 

大切な時期に、

身近な人に自分の意見を言って受け止めてもらう経験や、

その言葉を褒めてもらう経験や、

その言葉で喜んでもらった経験や、

それが伝わったその経験がなかったのかもしれません。

 

そういった経験がないと、

意見を伝えても「どうせ無駄だ…。」と諦めてしまいます。

すると、自分の意見や考えを表現する術がなくなってきてしまいます。

 

例えば、それが小説という書くことや、絵や歌といったように、

別の形になればまた話は別ですが、

そうでない場合、大人になって自分の気持をうまく表現できず、

困難を抱えてしまうことがあります。

 

誰かに受け止めてもらう、

しっかりと話を聴いてもらう、

そして自分の気持を表現する。

 

そんな何気ない時間は本当にかけがえのない時間なんだなと、

そう感じ、自分の気持を上手く言えない痛みは、

僕の想像をはるかに超えるものなのだと、

そう思う瞬間があります。

 

それは、カウンセリングをしている瞬間でした。

「最近イライラしてしまうんです。」と語るその人の話をよく聴いていくと、

「自分の気持ちはあるけど、なかなかうまくまとまらず、言えなくて…。」

「それで、それはこうした方がいいとか、どうしたいの?とか言われると怒りがこみあげてくるんです。」

「だから今考えている!それをやろうとしていた!とか、すぐに瞬間湯沸かし器みたいに怒りが出てくるんです…。」

と静かに話してくれました。

 

分かってもらえない苦しみや怒り、

自分の気持ちを何とか言葉にする前に分かったように言われてしまう、

そんなもどかしさや歯がゆさが一気に体から溢れて来て、

怒りが爆発してしまうのです。

 

自分でも自分の気持ちをうまく表現できず、

なぜそんなにイライラするのか、

どうしてこんなに悔しいのかもわからない。

 

唯一分かるのは自分が怒っていることと、

どうにも気持ちがうまく消化できないことだけ。

 

そんな状態はなんとも言葉で表現できません。

 

そんな時は、怒りをどうこうしようとするのではなく、

分かってもらえなかった自分を、

自分の気持を一生懸命に言葉にしようとした自分をねぎらう。

 

まずはそこからではないかなと思います。

 

そして、諦めず、

言葉にしようとする。

 

その時に、自分の気持を紙に書きなぐってみる。

思いつく限り、その時に感じたことや思ったことなど、

すべて思いのたけを紙に書いてみる。

 

つまり視覚化してみると、

心の内が少しずつ見えてきます。

 

ポジティブな言葉、

ネガティブな言葉、

両方出てくるでしょう。

 

ここで大切なことは、

「自分の気持を表現する」ことですから、

マイナスなことばが沢山あって、

「なんでこんなにネガティブなの…。」

と落ち込むことが目的ではありません。

 

その為、書きなぐったらちょっと時間を置いて、

それを振り返って、

その時に自分がどんな気持ちだったのか、

どんなことを表現したかったか、

どんなことを分かって欲しかったのか、

どんなことを伝えたかったのか

といったことを振り返って紙に書いて

「気持ちをまとめてみる」という作業が大切です。

 

そうすることで、少しずつ「よくわからなかった気持ち」が浮き上がってきます。

それは彫刻のようなものです。

彫刻は、大きな樹を削っていき、

無駄をそいでいくと、

自分が表現したい作品が形として表れてくるように、

まずは、大きな樹を削っていきましょう。

 

まずは、そこから始めていきましょう。

野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

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