亡き人をめぐって悔恨の情にくれている人にはアドバイスがある。
こういえばよかった、ああすればよかったと悔いている人は、
「こころのなかではいまだって、愛する人になんでも伝えることができる。」
         ・「永遠の別れ」日本教文社 P83 エリザベス・キューブラー・ロス著 

僕は、この言葉が好きです。喪失による悔やむ気持ちを終らせる。

僕はおばあちゃん子で、おばあちゃんが亡くなった時に、
ずっと後悔していることがありました。

おばあちゃんは、亡くなる間際、
チューブでつながれていて意識がない状態でした。

お見舞いに行った時に、
僕はその姿を見て、たまらなくなり、
その場から涙をこらえながら去ってしまいました。

おばあちゃんの死を受け入れることなんてできなかったのです。
涙が収まった時にようやっと戻ったのです。

でも、僕はその時に去るべきじゃなかったと、
それでもまだ生きているおばあちゃんのことを、
勝手に憐れんだり、なんでこんなことに。
なんて思わずに、しっかりとおばあちゃんを見つめるべきだったと、
一緒にいるべきだったと僕は後悔していました。

そして、ずっと昔に一緒にいったお花がきれいな公園に行った時に、
思春期からつっけんどんな態度をとって、
悲しい顔をさせてしまったことに僕は後悔していました。

ずっと後悔していた気持ちを言葉にした日。

ずっとごめんね。って言いたかったのに言えないでいました。

それからずいぶんと年月が経ち、
カウンセリングのロールプレイをしている時のこと、
ありがとうの気持ちをつたえたい人を一人選んで、
目の前の椅子に、その人が座っていると思って、
感謝や言いたいことを伝えるというワークがありました。

そこで、僕はおばあちゃんを選んで、
目の前の椅子におばあちゃんが座っていることをイメージして、
取り組んでみることにしました。

すると、いろんなことを思い出して、涙が自然とでてきました。
ほんとにおばあちゃんが、目の前にいるようで、涙がでてきました。

そこで、感謝の気持ちと、後悔の気持ちや、ごめんねっておばあちゃんに伝えました。

言葉に出してみると気持ちが心の中から溢れてきて、
自分の中にこんなにもまだ後悔している気持ちや、
感謝している気持ち、ごめんねって思っている気持ちがあるのかと、
少し驚きながらも、それを一つずつ心ゆくまで言葉にしました。

こころの中でのことを、実際に言葉にするというこれだけなのに、
思うのと行動する(言葉にする)のには、雲泥の差がありました。

心ゆくまで言葉にしたあと、今度はおばちゃんの席に座ってみて、
おばあちゃんが以前座っていたように座り、その席から自分を見てみると、
色んな気持ちが湧き上がってきました。

それを十分に感じて、自然と湧いてきた言葉を自分に返してみる。
そんな取り組みを通して、僕の後悔する気持ちは自分の中から流れていきました。

もうおばあちゃんが亡くなってから何年も経った後のことですが、
キューブラー・ロスさんが言うように、
「こころのなかでは今だって、愛する人になんでも伝えることができる。」
のだと僕は思います。

そして、こころの中の言葉を”今”、少しずつでも実際に言葉にしてみること。
勿論無理をせずに、出来る範囲で少しずつ。

そうすることで、少しずつあなたの中の故人に対する悔やむ気持ちは、
終わりを迎えていくのだと思います。

野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

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