「佐藤さん(仮名)は、ちゃんと育つ木ですから。」
「水を上げたら育つ木ですから、だから自分でも水を上げていきましょう。」
そう告げると、
彼女は静かに頷き、
手に持ったハンカチで、
何故だかわからずさらに出てくるその涙をぬぐっていました。
僕たちは、きっと育つのだと思います。
水を上げれば上げるだけ、
育つのだと思います。
でも、”きっと”と言ったのは、
水の上げ方がわからなかったり、
そのあげる水を間違えてしまうことが人にはあるからです。
幸せと思ってやっていたことが、
自分を不幸にすることもあります。
気晴らしにやっていた楽しいことが、
僕でいうとゲームが自分を蝕むことがあります。
そう。
気づかぬうちに、
自分には合わない水を上げて、
心の土壌が崩れていくこともあるのです。
僕たちは、育つ木です。
だから、自分に上げる水を僕たちは気を付けて選ばなければならないのだと、
僕は最近そう感じるのです。
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