カウンセリングをしていると、人の孤独や寂しさに触れる事があります。

以前にカウンセリングをしていた時のこと、
「なんだか取り残されてしまうようで寂しいんです。」 と、
そんなことを訴える方がいました。

よくよく話を聞いていくと、確かに寂しそうなんですが、
その瞳の奥には悲しさや孤独が見えました。
なんだか一人暗闇で取り残されてしまって、
うずくまっているような、そんなイメージが浮かんできて、
それを言葉にしてみました。

「なんだか、暗闇に一人、ぽつんと取り残されてしまったような、そんな感じがしますね。」
というと、
「ん~、そうですね、なんだか一人でぽつんといるような、とにかく寂しいんです。」
ということだったので、その寂しさをじっと感じてもらうと、
さっきの言葉(なんだか取り残されてしまうようで寂しい)がでてきました。

寂しさは、つながりを求める。

このように人は、孤独を感じる時や、誰かに拒絶された時など寂しさを感じます。

そして、その寂しさを感じると誰かに抱きしめて欲しくなったり、触れていたくなったり、一緒にいたくなったり、誰かと繋がっていたくなるのです。

これは誰にでも起こる一種のストレス反応です。

過度なストレスが生じた時に、心がそのストレスに対処しようとしてくれているのです。

人は、ストレスを感じると、オキシトシンという脳内ホルモンが脳から分泌され、
誰かの役に立ちたいという気持ちや 誰かと繋がりを求める気持ちが強くなるのです。

それはなぜかというと、誰かと繋がって安心したいからです。

心があなたを安心させようとしてくれているのです。
だから寂しさを感じると誰かと繋がっていたくなるのです。

小さい頃、不安になったり孤独を感じり、過度なストレスにさらされた時、両親のもとに助けを求めに行った記憶はありませんか?

そんな時に母親に抱っこしてもらったり、頭を撫でてもらったり触れてもらったりするだけで、ほっとした記憶はきっとあるはずです。

人は抱っこしてもらったり、触れてもらったりすると、お互いにオキシトシンが分泌されます。

するとオキシトシンの働きにより、お互いに思いやりの気持ちが深くなったり、
相手に対してやさしくなったり、 相手の気持ちや考えがよくわかるようになったりするのです。

寂しさは、このように僕たちに人との繋がりを思い出させてくれ、お互いに思いやることの大切さを示してくれている側面があるのです。

寂しさを感じるのはあなたに安心して欲しいから。

さて、過度なストレスがかかった時に、寂しさを感じるのは一つのストレス反応であるとお伝えしましたね。

そして、そのストレスを何とかしようとして、心はあなたに人との繋がりを思い出させて安心させたい。

そんなこともお話をしましたね。

ここでは、その「心はあなたに人との繋がりを思い出してほしい」ということについて、もう少し詳しく説明していきましょう。

心が寂しさを感じる時というのは、
私たちが「一人だ…」と強く感じる時や、
いなくなってしまった人を思い、そのぬくもりを思い出し、
その人との繋がりを求める時です。

例えば、付き合っている人を見ると、
「いいなぁ~…。」って思うのと同時に、
私だって前は好きだった人と…。と感じて、寂しさを強く感じたり。

別れてしまった時に、ふと思い出の駅に降り立った時、
一緒に手を繋いで降りる彼の姿がない…。
そんな時に、「あぁ、もういないんだ…。」と、
失われてしまった悲しみを感じるとともに、
そのつながりを求めて、ぬくもりを感じたくて、
心が寂しくなったり。

何でもないのに、ただ友だちと話をしていただけなのに、
急に無性に寂しさを感じる…。

そんな時も、こころはやっぱりつながりを求めています。

寂しさは失われてしまった繋がりを意識した時や、
誰かとのつながり求める時に湧いてくる気持ちなのです。

そして、なぜこの寂しさをこころが感じるのかというと、
それは、温もりや繋がりをあなたに感じて欲しいからです。

あなたがその温もりや繋がりを感じていた時に、
とっても安心していたことや、ほっとしていたことをあなたの心は知っているのです。

だから、あなたの心は、その温もりや繋がりを感じて、
ほっとして欲しくて、安心して欲しくて寂しさを感じさせるのです。

そして、寂しさは「一人だ…。」って感じる時に湧いてきますが、
こころは、その繋がりをあなたに感じてもらう事で、そのぬくもりを感じたり、
思い出してもらうことで、「あなたは一人じゃないんだよ」って思い出して欲しくて、
ずっとあなたに寂しさを通して語りかけてくれているのです。

寂しさを感じる度に、僕たちは誰かのぬくもりを思い出します。
あの時笑いあって、満たされた時のことや、一緒に触れあっていたこと。

寂しさを感じるその度に、僕たちは寂しさだけじゃなくて、
その心の中の人とのつながりも感じているのです。

寂しさの中のつながり。

寂しさの中には、つながりがあります。
そのつながりを感じるからこそ、寂しいのです。

そのつながりを知ったからこそ、僕たちは寂しいのです。

逆に言えば、そのつながりを感じなければ、寂しさは感じないのです。

冒頭のお話を覚えていますか?

「なんだか、暗闇に一人、ぽつんと取り残されてしまったような、そんな感じがしますね。」

と、僕が目の前の方に話しかけると、

「ん~、そうですね、なんだか一人でぽつんといるような、とにかく寂しいんです。」

と、そう目の前の方が答えてくれました。

そこで、その寂しさをじっと感じてもらうと、
「なんだか取り残されてしまったようで寂しい。」
という言葉と共に、涙が溢れてきました。

そして、その寂しさを言葉にしてもらい、
その温もりも一緒に感じてもらいました。

寂しさを乗り越えていく一歩は、
その寂しさを言葉にしてもらい、
誰かに受け止めてもらうことです。

だから、今もしあなたが急にどうしようもなく寂しいのなら、
身近な友人に話を聞いてもらったり、
ただ肩を貸してもらったり、
正直に寂しいって言って、ぎゅって抱きしめてもらって下さい。

その寂しさを受けてめてもらってください。

そして、寂しさの裏にある本当はこうしたかったという思いを言葉にして、
その寂しさを流していってください。

寂しさの奥には叶わなかった、叶えたかった願いがあります。

寂しさの奥の奥には、今は触れることは出来ないけれど
あの人が残してくれた確かな温もりが心の奥にあります。

確かに今はいない。

今は触れることはできない。

だけど、今も確かに繋がりを求める気持ちを堂々と感じてあげて下さい。

そしてその気持ちを十分に感じ、寂しさを抱える自分を心の中にイメージして、
ぎゅっと抱きしめてあげて下さい。

ずっと一人で、頑張ってきたんですから。

話しが少しそれましたが、僕は目の前のその方にこのように接しました。

寂しさを抱える自分をいたわり、
ぽつんと一人でいる自分を抱きしめてもらったのです。

自分を抱きしめるように、両腕を両肩に添えてもらって。

すると、その方は大粒の涙を流しながらこう声を掛けていきました。

「ずっと寂しかったね…。」って。

そして、僕はこう声を掛けました。

「そうです。ずっと寂しかったですよね。ずっと一人で抱えてきましたね。」

「そんな自分に対して掛けてあげたい言葉を掛けて下さい。」と。

寂しさが癒えていくのは少し時間がかかります。

でも、少しずつ取り組んでいけばその寂しさは必ず癒えていきます。

急に無性に寂しさを感じるのは、

愛されてきた経験の有無が関係していると言う人がいます。

確かに関係しているかもしれません。

でも、カウンセリングをしていて思うのです。

誰かにこれまで愛されてこなかったからって、これからは違う。

そして、今からでもその寂しさは埋めることが出来る。

その一歩は寂しさを受け止めてもらうこと。
そして、その寂しさを感じてること。
その中のつながりを感じること。
その中の愛を感じること。

それが寂しさを癒す一歩です。

寂しさはいつだって、あなたは一人じゃないよって教えてくれています。
繋がりがそこにあるんだよって。繋がっていたいんだよって。

少しでも、あなたの寂しさが癒えることを祈って。

ただ、もしあなたが今一人でどうしても耐えられず、
寂しさに飲み込まれそうなときは、お気軽にご相談下さい。

一緒に乗り越えて行きましょう。

※さらに詳しい急な寂しさへの対処法はこちら。

野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

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