『自分を落ち着かせる場所を持つ。』
自分の傷よりも、こころの傷の方が痛い時がある。

こころの傷は、目に見えないしなかなか消えない。

そしてこころの傷は、時に僕たちにどうしようもなく襲いかかり、

目に見えないのに、僕たちを苦しめる。

その苦しみは、一人ではとても耐えきれず、

自分を見失う時さえある。
そんな時、僕たちはやむを得ず、

自分を傷つけることで、

こころの痛みを目に見える痛みにかえて、

何とか対処しようとする時がある。

目に見える、直に感じる痛みで、

こころの痛みをまぎらわそうとするのだ。

こころの痛みを感じるくらいなら、

体を傷つけ、その痛みを感じた方がまだましなのだ。
自分を傷つける行為は、こころの叫びであり、

自分を何とか保つ為にたどり着いた手段なのだと、

僕はそう感じる。
でも、僕はこうも感じる。

「誰も自分を傷つけたい人なんていない。」って。

この前、腕に沢山の傷を抱えていたその方もそうだった。

「本当は自分を傷つけたくなかった…。」

そう涙ながらに語ってくれたその姿を見てそう感じたのだ。

誰も自分を傷つけたくなんかない。

みんな自分を傷つけながら、

こころの中で泣いている。

「どうしてこうなっちゃったんだろう…。」

そうやってきっと泣いている。

どうでもしないと、

自分を保つことができなかった背景に思いを馳せると、

胸が締め付けられる。

あなたは悪くないよって、

そういってあげたいけれど、

僕は、あなたの傍にいてあげることができない。
僕ができることは、

僕が感じたことを言葉にしてこうやって届けること位だ。
僕が今回のカウンセリングで、

強く感じたことは、

僕たちは必ず止めることができる。

自分を傷つけてしまうことも、

その苦しみも終わる時が来るし、

僕たちは終わらせることができるということだ。

それは僕たち自身のその手で。

沢山傷ついて、沢山の悲しみの涙を抱えてきたからこそ、

それを終わらせようと、自分の足で歩んできたその方を見てそう強く僕は感じたのだ。
野川  仁
・元引きこもりの心理カウンセラー
・JCA カウンセリング・傾聴スクール 講師 
・(一社)日本心理カウンセリング協会 代表理事
現在は、都内のクリニックでカウンセリングも行っている。

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